もう人気者には恋をしない
「あの、先輩」

「……ん?」

「……大学合格……おめでとうございます……」


 顔は見れなかったけど、やっと振り絞って言えた。

 それだけでも、気持ちが少し軽くなった。


「須藤さん……ありがとう」


 きっと、先輩は優しく笑みを浮かべてるのかもしれない。

 でも、顔はやっぱり見ることが出来なかった。

 再び沈黙が続く。

 手当ても、あと包帯を巻いて終わり。

 終わったら……もう話せなくなっちゃうよね。

 ホントに……このままでいいの?

 私は心の中で葛藤しながら、包帯を巻いていった。
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