もう人気者には恋をしない
 困惑する私をよそに、先輩は話し出す。


「俺が中三の時……隣町の中学に練習試合しに来たことがあって。
 その帰りに公園に寄ったんだ」

「え!?そうだったんですか!?」


『じゃあ、その時に見かけたんですね』と訊こうとしたら、先輩が先に口を開いた。


「ちょうどその時……失恋したばかりでさ」

「失恋?……えっ、先輩が!?」


 あんなにモテるのに、失恋するなんて……信じられない。


「……すごい好きだった。付き合ったりもした……けど、そのコ……俺のことを好きだった女子達から妬まれてて、イジメにあってたんだ」

「そんなっ……ひどい……」


 先輩、辛そう……それでも話を続ける。


「そのコ、不登校になっちゃって……家に行ったら『ごめん……もう無理』って。そりゃそうだよな。
 俺がちゃんと守ることが出来ていれば、あんなことにはならなかった……
 なんで、もっと早く気づいてあげられなかったんだろうって、死ぬほど悔やんだ」

「……先輩……」


 さらに顔が辛さを増す。

 今にも……泣きそう。
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