もう人気者には恋をしない
「あれから何回か公園に行ったけど……
 もう、会うことが出来なかった」

「そうなんです。あの公園に行ったのは……あの日だけなんです」

「でも……またこうして会えた」


 先輩っ……

 いとおしく見られたような気がして恥ずかしくなり、思わず目をそらしてしまった。


「あ……じゃあ先輩は、最初からそれが私だって知ってたから、グラウンドで話かけてくれてたんですか?」

「いや、最初は半信半疑だった。顔も覚えてなかったし、なんとなく雰囲気は似てる気がしたけど、まさかそんな偶然はないだろうなって……

 話してても、なかなか確信は持てなかった」


 初めてグラウンドで会った時。あれ、睨んでたんじゃなくて、記憶を探ってたんだ。
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