もう人気者には恋をしない
 辺りをぐるりと見渡す。

 卒業生と在校生が、それぞれ別れを惜しんでいる。

 けど、なかなか後藤先輩の姿が見当たらない。

 先輩……どこだろう。

 今度は、グラウンドの方へ行ってみた。

 ……あ、いた!

 私がいつもスケッチをしていたベンチ。

 後藤先輩が一人、うつ向いて腰を掛けていた。

 私はフェンスの扉を開けて、ベンチへ向かった。
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