もう人気者には恋をしない
 その先輩も、当然すぐに戻るのかと思ったら……

 あ、あれ?

 また、私をジーッと見てくる。


 もう、何なの?この先輩……

 そんなに見てこられると、妙にドキドキするんですけど。


「あの……何か?」


 私は、恐る恐る聞いてみた。


「あっ……いや、これは失礼。

 その……あまりにキレイな黒髪をしてるから、つい見惚れてしまってね。
 いやぁ、まいったなぁ!」


 と言って、先輩はハッハッハと豪快に笑いとばした。


「えっ?あ……ありがとうございます」


 えーと……これは冗談なのかな?フザけた感じで言われたけど。それでもビックリした。急に、そんな風に褒められるとは思わなかったから……


 やだ。ますますドキドキしてきた。


「あ、紹介が遅れました。わたくしは後藤崇(たかし)と申します。

 三年一組、サッカー部の副キャプテンをしております。
 以後、お見知りおきを……」


 胸に手を当てて、丁寧にお辞儀をしてきた。


「……はぁ」


 なんか、キャラがゴロゴロ変わる人。

 後藤崇先輩……かぁ。
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