もう人気者には恋をしない
「小学六年生の時、初恋をしたんです。
 名前は春樹君っていうんですけど……先輩と同じ、人気者でした」


 先輩は、黙って聞いてくれていた。


「優しい春樹君に、私はすぐ好きになって……それで、卒業式の日に告白したんですけど……見事にフラれちゃいました。

 私にだけ優しくした覚えはない。勝手にそう思ってただけじゃんって……

 あと……ちょっと優しくしただけで好きになるなんてチョロい女……そう言われちゃったんです。

 それでその時に誓ったんです。

 『もう二度と人気者には恋をしない』って」

「そう……だったんだ」

「恋をしないって、誓ったはずなのに……」


 ここで、言葉が詰まってきた。

 胸がいっぱいで……泣きそう
< 120 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop