もう人気者には恋をしない
「…………はぁ~~、マジで焦ったぁ!」


 先輩はその場にヘナヘナと座り込んだ。


「ど、どうして焦るんですか?」

「須藤さんって……結構フェイントするよねー。人気者が嫌いって言われた今もそうだけど、去年相葉が好きですって言われた時も、俺……フラれたと思っちゃったし。ひどいよなぁ……」


 うぅ……と泣きだした。


「あっ、ごめんなさいっ!私、そんなつもりじゃ……」


 焦って謝ると……先輩が、顔をあげてニヤッとした。


「うそ、冗談」

「って……先輩~」

「ハハッ、ごめんごめん」


 先輩ったら、ひどい。

 でも……なんかすごく幸せなやり取りに感じた。


「じゃあ……改めて言わせて」

「え?」


 先輩はまた立ち上がって、私の前に手を差し出した。
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