もう人気者には恋をしない
 ……ん?隣からチラチラと視線が来る。

 特に、小さな女の子の方が積極的に見てくる。

「ねぇねぇ。となりのひと、王子様みたいだね」


 ひそひそ話してるつもりだろうけど、小さな女の子は声の調整がなってなかった。

 残念ながら……俺は王子様じゃないよ。

 だって、好きなコを守れなかったから……そんなの、王子様って言わないだろう?

 言うわけにもいかず、心の中だけに留めておいた。


「フフッ、また王子様?花ちゃんはホント、王子様が好きだよねー」


 中学生の女の子は笑いながら言った。

 俺はそのコがなんとなく気になり、また横目でチラッと見た。

 そしたら……一瞬目が合ってしまった。

 ヤバッ!

 すぐにそらした。中学生の女の子の方も、視線を小さな女の子に向けた。
< 129 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop