もう人気者には恋をしない
「後藤っ!!お前はいつまでサボってんだ!」


 わぁっ!後藤先輩より大きい!顔も体つきも、まるでゴリラみたい。


 ゴリラみたいな人は、後藤先輩の後頭部を思いっきり殴った。


「だっ!いったぁ〜い。キャプテンったら、いきなり何すんのよぉ」


 後藤先輩は、頭を抱えて体をくねらせた。

 キャプテンてことは、部長さんってことかぁ。へぇ……サッカー部って、イケメンばかりのイメージがあったけど、こんなゴツイ人もいるんだ。


 フザけた先輩に、部長さんは呆れ気味にため息をついた。


「たく、お前は。相葉を走らせておいて何やってるのかと思ったら……

 なんだ?またファンにちょっかい出してたのか?」


 私……ファンでもなんでもないんですけど。

 ただのファン扱いされたら、何となくムッとした。


「あらいやだ、人聞きの悪い。

 あー、キャプテンったらもしかして……私にヤキモチやいてるんでしょう~」


「誰がやくかっ、アホ!」


 うわ、また殴った。痛そう……

 後藤先輩、大丈夫かな。よく見ると、ちょっと涙目になってる。
< 14 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop