もう人気者には恋をしない
 あの時……

 それは、私が小学6年生の時だった。

 同じクラスの男の子。名前は春樹君。顔も爽やかで性格も明るく、みんなから親しまれていて。

 後藤先輩と一緒で人気者。

 私の……初恋のコだった。

 好きになったきっかけは、ほんのささいなことからだった。

 一人でクラスみんなのノートを運んでいた時のこと。先生は半分ずつの方がいいよと言ってくれたんだけど、二往復もしたくなかった私は一気に全部持って歩き出した。けどやっぱり重たくて、途中で座り込んで後悔して……

 そこに偶然通りかかった春樹君が、見かけるなりノートを半分より多く持ってくれた。

 ごめんねという私に、
『俺は男だから大丈夫だよ』って……

 初めて男の子らしい優しさに触れたものだから、それだけで好きになった。
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