もう人気者には恋をしない

 サッカー部のお化け屋敷は、離れにある旧校舎の一階。教室をいくつか使って廊下も利用した作りになっていた。

 これって、なかなかの広さよね……

 入り口付近に来ると、数人並んで待っている。黒い幕の入り口には『恐怖・サッカーの館』と、不気味な看板が掛けられていた。

 ……うわっ。中から、かなり悲鳴が聞こえてくるんだけど。

 どうやら、お化け屋敷のクオリティーも高そう。

 あぁ、やっぱやめようかなぁ……


「ちょっとー、映見ってば大丈夫?若干、震えてない?」


 果奈も、合流した彼氏も、心配そうにしていた。


「だっ、大丈夫だよ……たぶん」


 あ、声が震えてる。うぅ、全然大丈夫じゃないみたい……


「俺はこういうの全然平気だから、後ろに付いてなよ。三人で回れば怖くないって」


 果奈の彼氏、結構優しい。


「あ、ありがとう。でも、二人の邪魔をするわけには……」

「映見、気にしないでいいよー。でも、彼には抱きつかないでよね。抱きつくなら私にしてよー」


 果奈……ホント幸せそう。
< 44 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop