もう人気者には恋をしない
サッカー部のお化け屋敷は、離れにある旧校舎の一階。教室をいくつか使って廊下も利用した作りになっていた。
これって、なかなかの広さよね……
入り口付近に来ると、数人並んで待っている。黒い幕の入り口には『恐怖・サッカーの館』と、不気味な看板が掛けられていた。
……うわっ。中から、かなり悲鳴が聞こえてくるんだけど。
どうやら、お化け屋敷のクオリティーも高そう。
あぁ、やっぱやめようかなぁ……
「ちょっとー、映見ってば大丈夫?若干、震えてない?」
果奈も、合流した彼氏も、心配そうにしていた。
「だっ、大丈夫だよ……たぶん」
あ、声が震えてる。うぅ、全然大丈夫じゃないみたい……
「俺はこういうの全然平気だから、後ろに付いてなよ。三人で回れば怖くないって」
果奈の彼氏、結構優しい。
「あ、ありがとう。でも、二人の邪魔をするわけには……」
「映見、気にしないでいいよー。でも、彼には抱きつかないでよね。抱きつくなら私にしてよー」
果奈……ホント幸せそう。