もう人気者には恋をしない
「須藤ー!ごめーん!」


 呼ばれて顔をあげると、グラウンドの方からユニフォーム姿の男子がこっちに向かって走ってきた。


 見たことあるなと思ったら、同じクラスの相葉君だった。


「ごめん、蹴ったの俺なんだ。大丈夫?痛くなかった?」


 着くなり、息を少し切らしながら訊いてきた。


「ううん、全然。軽く当たっただけだから大丈夫」


「そうかぁ。それなら良かった」


 と、安心した様子でニコっと笑った。


 男の子なのに、可愛らしく笑うなぁ。


 相葉君とは二学期になって、席が隣同士になったのをきっかけに仲良くなった。

 髪は少し茶色く染めてるけど、全然チャラチャラしてなくて、大人しめの性格なんだよね。

 それなのに、入学して半年でサッカー部の次期エースとして注目されているなんて……すごいよねぇ。

 全国大会がかかった地区大会の試合にも、ベンチ入りしたって言ってたっけ。
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