もう人気者には恋をしない
「先輩、良かったらコレ。ハンカチじゃ頼りないですが……」

「いや。ありがとう、助かるよー。ハンカチでも全然いい。
 じゃあ、お願いします♪」


 え、『お願いします』?


 先輩は、顔を近づけて何かを待っている。

 ま、まさか……

 察した途端、顔が熱くなってきた。

 固まる私に気づいた先輩は……


「……あ……あぁそうだよねぇ、ごめんごめん!おじさん、ついつい若いコに拭いてもらおうとしちゃった!
 いかんいかん!ワッハッハ!」


 やっぱり、そういうことでしたか……

 先輩は笑ったまま、私からハンカチを受けとると、自分で顔を拭きはじめた。

 でも、ちょっとだけ拭いてみたかったかも……いやいや、やっぱダメ!自分から地雷を踏むようなことをするなんて!
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