もう人気者には恋をしない
「あ、これでしょう?須藤さんの絵」


 先輩は、いつの間にか私の絵の前に立っていた。


「あ、はい!そうですっ」


 私……なんか一人で盛り上がってて、恥ずかしいなぁ。
 

「へぇ~、上手いなぁ。この相葉、実物よりカッコ良くない?」

「ハハ……ちょっと、気合い入れすぎちゃいました」

「俺、絵が下手だから、上手い人ってホント尊敬する」

「先輩、下手なんですか?」

「うん。絵心ない芸人並」


 意外。何でも出来そうなのに。


「どんだけ絵心ないのか見てみたいです。今度描いて下さいよ」

「いやぁ。須藤さんドン引きしちゃうかも……」

「えー、そんなにですか?」


 私は声をあげて笑った。

 やっぱり、先輩といると安心感がある。

 ドキドキするのに、自然と話すことが出来てる。

 もし……後藤先輩と付き合ったら、
 きっと毎日が楽しいだろうなぁ……って。

 やだ、私ってば……

 今、完全に後藤先輩のことを……

 好……
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