もう人気者には恋をしない
「いや、ホントごめん。こんなデリケートなことを聞いて」

「いえ……」


 これで誤解が解けたなら、聞かれて良かったかも。

 ますます安堵した。


「相葉は、須藤さんのことを何とも思っていないだろうけど……その……須藤さんの方がもしかしたら……なんて思っちゃったらさ、気になっちゃって……」

「えっ?……」


 それって……どういうこと?

 思わず先輩を、ジッと見た。


「あっ!いや、深い意味なんてないんだけどっ……あぁ、まいったな……」


 あの後藤先輩が、動揺してる……

 うそ。

 それって……

 いやでも、私の勘違いだよね?ね?

 まさか人気者の後藤先輩が……同じ気持ちでいてくれるワケがないよ。

 けどじゃあ、何で私が相葉君を好きじゃないって知ったら、あんなにホッとするの。

 何で、私の気持ちが気になるの?

 何で……他の人は呼び間違えるのに、私の名前は間違えないの?

 お化け屋敷も、こうして絵を観に来てくれたのも……

 聞きたい。

 また勘違いしないためにも、

 先輩の口からハッキリと……

 私に対する気持ちを聞きたい。
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