もう人気者には恋をしない
 何も知らない相葉君は、私の絵の前に立った。


「わ……すごい上手いけど、なんかカッコ良すぎじゃない?」

「えっと……ちょっと気合い入れすぎちゃったかな?」

「はぁー、須藤ってすごいね」

「きっと、モデルが良かったんだよ……」

「そんなことないよ、須藤が上手すぎるんだよ」

「あは、べた褒めだねー……」


 うぅ……先輩からあんなことを聞かれたから、変に意識しちゃって上手く話せない。

 私はそっと窓を見た。

 先輩、まだ顔を出してる。

 相葉君の方に向かって変顔をして、手でシッシッと払っている。


「……ぷっ」

「ん?何か可笑しかった?」

「ううん!何でもないっ」


 やめてください、先輩。つい笑っちゃったじゃないですか。
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