もう人気者には恋をしない
「そういえば、花ちゃん一人?」


 少し心配して訊いた。


「ううん、ちゃんとママと一緒だよ。今、隣の手芸の展示見てるの。私だけ先に来たんだー」

「そうかぁ、ありがとうねー」

「あとね、絵本とても面白かったよ」

「もう読んでくれたんだー」

「うん。『ワガママ姫と弱気な王子様』ってタイトルもよかったよ。王子様がお姫様に振り回されてて、かわいそうだった」

「アハハ!でも、最後はちゃんとハッピーエンドだったでしょ?」

「うん、良かった。
 映見ちゃんの作った絵本大好きー」


 嬉しい。喜んでくれたー。

 やっぱり絵本書くのって楽しいなぁ……


「え?作った絵本って……もしかして、須藤さんが?」


 先輩が普通の声で聞いてきた。

 あ、先輩にはまだ打ち明けてないんだった……

 言ったらどう思うかな……知ってもらいたい。
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