もう人気者には恋をしない
「そうなんです。
 実は私……絵本を書くのが好きで。書き始めたのはこのコがキッカケだったんですけど……」

「それっていつから!?」

「えっ……」

「いつから絵本を書き始めたの!?」


 なんか、真剣に聞いてくる……


「えっと、中学一年生からですが……」

「中一……」


 クマさんを被ってるから、どんな表情をしてるのかはわからないけど……様子がおかしいのは確か。


「あー、そうかぁ!」


 と、花ちゃんが急に声をあげた。


「え?花ちゃん、どうしたの?」

「このクマさん、王子様なんでしょう?」

「王子様?」

「うん。映見ちゃんが前に書いた絵本と一緒だもん。『森の迷いグマ』って絵本」

「森の迷いグマ……花ちゃん、よく覚えてたね」


 書いた本人でさえも、忘れかけていたのに……
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