もう人気者には恋をしない
「後藤先輩がわざわざ練習を抜け出して、人に話しかけに行くようなことは、めったにしないんだよね」

「それなのに、須藤さんがいるときだけ話しかけに行くなんてさぁ」


 なんか、取り調べを受けてる気分になってきた。

 三人の口調がだんだんと強くなって、私に押し寄せてくる。

 圧倒されて、私の中で焦りも出てきた。


「名前だって……須藤さんだけ覚えてたもん。何でか、わかる?」

「え……」


 何でって……ワケがあるの?


「後藤先輩は……好きなコの名前だけは、絶対忘れないんだって。他の先輩達が言ってた」

「っ……」


 言葉が詰まった。

 ……うそ。

 先輩が……私のことを?
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