もう人気者には恋をしない
第七話 本当の気持ち
*


 学校の卒業式まで、あと二ヶ月を切った。

 今日は部活もないから、まっすぐ帰ろう。

 帰りがけにグラウンドを見てみる。

 サッカー部……練習してる。

 今回も決勝で敗退……か。

 相葉君、自分がミスをしたからって言ってた。すごく落ち込んでいたけど……今は、徐々に気持ちを切り替えていってるみたい。

 相葉君は……えらいな。


 あ…………

 後藤先輩も、練習に参加している。


 私は……まだ切り替えられない。こうして姿を見ただけでも、まだ胸が痛い。


 先輩とはもう……話さなくなった。


 すれ違っても、姿を見かけても、私が先輩を避け続けた。先輩も、無理して話しかけようとはしなかった。

 年が明けて三学期になっても、状況は変わらず……

 噂によると先輩は、大学を推薦で合格したらしい。


 ホントは……『おめでとうございます』って言いたい。

 もう……そんなことさえも出来なくなっちゃったけど。


 ……帰ろう。


 早く、先輩のことは忘れなくちゃ……
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