もう人気者には恋をしない
「あーよかったぁ!保健委員がまだいてー」


 私を見るなり、かなりホッとしていた。


「どうしたんですか?」

「あのさ。悪いんだけど、今から保健室の当番してくんない?」

「えぇ?今からですか?」

「頼むっ!今日、会議だったの忘れててさぁ。まだ部活動してる部もいるし、ケガされるかもだから、保健室を空にするワケにはいかないじゃん?」


 美人に似合わない、さばさばした口調で必死にお願いしてきた。


「でも……」


 帰るつもりでいたのにー。


「先生が帰ってこれなくても、部活動が終わったら帰っていいからっ!な?な?
 神様・仏様・須藤様ー!」


 そこまで必死にお願いされると、断りにくいんですけど……

 うーん……まぁ、いいかぁ。どうせこの後何にもないし。


「……わかりました、いいですよ」

「やったぁ、サンキュー!じゃ、くれぐれも頼んだよ!須藤ちゃん♪」


 態度をコロリと変えて、上から目線……

 先生は頼むだけ頼んで、とっとと走っていった。

 ……たくもう~。先生ったら、相変わらず人使いが荒いんだから。
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