キミがナク


呟いた声は小さくて、ほとんど息だったけれど、彼はそっと頷いてみせた。

彼の黒い髪、静かな雰囲気、そして、真っ青な瞳が、すごく猫を思わせた。


「あ…と…し、しゃべれる…のかな?」


初めての経験に戸惑いを隠せきれないけれど、黙っていてもなにも始まらないから、そう聞いてみた。


「うん。」


高く、澄んでいた。

色で例えると、水色や透明にぴったりとはまるような声だ。
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