もしも私がーcasket in cremtion。
誕生日
洞窟から抜け出してから二週間が経った。
私は変わらずにバイトに出ている。
ちなみにバイト先では十六歳って事にしてるけど、今のところばれてはいない。元々2歳差だし。
それよりも、問題なのは――。
「ただいま」
「おかえり~!」
玄関を気だるく開けると誰もいないはずの部屋から私をむかえる者がいる。
「靭、おかえり~! じゃないでしょ! あんたらいつまで居座る気よ!? 勝手に押しかけて来て、靭と永璃の「ごめんねぇ、ここに暫く住まわせて」だけじゃ納得できんわ!」
「仕方がないだろ。解任された今、次の指令が無い限りあそこには戻れないんだからな。」
偉そうに言いながら、幟呉はトランプを配り始めた。
「ああそうですか、それは大変ですね、さん!!だったらのん気にトランプ何てやってないで「仕事ください」って頼みに行ったらぁ?大体家賃くらい払いなさいよ!」そう言って私は幟呉の目の前に手を出して「全額2万円!」
と、手を出しながら言うと、幟呉は呟いた。
「ヒステリーな上にがめつい女だな。」
「何ですって?幟呉ぇ!!」
その言葉に私がガナルと
「だいたい、このオンボロアパートに2万は高いだろ。」と幟呉は話を逸らした。
すると永璃が
「いやいや安いだろ」とフォローし、靭がちゃかした。
「ていうか、2万なんていわくつきなんじゃないの?」
私は疲れて座り込んだ。
確かにこのアパートはボロイよ、トイレはついてるけど、お風呂はついてないし、六畳一間だし、キッチンは小さいし、冷蔵庫も小さいし中古だし。
でも別にいわくつきなわけじゃない。
住み込みで働けるところを見つけただけだ。店長が大家さんと親戚で、大家さんが住んでくれる人がいなくて困っているので、GET来来で働く事を条件に家賃を値下げして2万で貸してくれているのだ。
食事と光熱費以外に出費はなかったし、昼も夜も働いているので、食事はまかないで済んだおかげで、少しは貯金が出来ている。
もちろん、通帳なんて持ち出す余裕がなかったから、タンス預金だけど。
それが……どうにも貯金が出来なくなっている上に、このままじゃタンス預金にも手をつけてしまいそう。
その原因が言わずもがな!
こいつらだっ!!
ああ……! いきなり子持ちになった気分だわ!
私は大げさにため息をつく。
「ねえ、じゃあさ、出てけとは言わないからさ、せめてバイトとかしてくんない?」
(これまでも散々出て行けって言ったけど、ことごとく丸め込まれてきたからもう諦めた。譲歩しよう)
すとと靭が言いづらそうに切り出した。