もしも私がーcasket in cremtion。

「あれ?幟呉達いない。幟呉はともかく、あの二人が私より先に起きてるなんてめずらしい!地震でも起きるんじゃないの?」

何て独り言を言いながら朝のみじたくを済ませ、台所に行くとコンロの上に、目玉焼きとメモが置いてあった。

『朝ごはんです。ちょっと焦げちゃったけど食べてね! by靭』

「へえ。今度は小火騒ぎにはならなかったんだね」と関心してフライパンと目玉焼きを交互に見て「でもこれ、ちょっとじゃなく、焦げてますけど。フライパンも」と苦笑した。

 靭は一度夕食を作ろうとしたことがあったんだ。あの時は本当にびっくりした。私が帰宅したらキッチンのコンロがボウボウと燃えてたんだから。

 あの時の慌てた靭と永璃ったら!
 今でも何か笑える。
 まあ、幟呉は相変わらず冷静だったけど。っていうか、我関せずだった。私達がわあわあ騒いでるのを尻目に本読んでたんだもん。
 あいつ、本当に協調性ないよね。

「まあ、でもありがたく、いただきます!」

目玉焼きを パク !

「……」

私は一瞬、固まった。

「ま、まずっ!不味すぎ!何入れたのこれ!?……オエぇ!!」

急いでコップに水をナミナミ入れて一気に飲み干した。

「っは~あ!あいつらよくこんなの食べられたわね! うえっ、まだ口の中に残ってる気がする~!」

目玉焼きは超絶クソマズかったけど、味に比例するように、嬉しかった。

「ところで、あいつら本当に何処に行ったの?」


 ****


壁に寄りかかって座りながら、時計をチラ見した。起きてから二時間は経っている。

「ヒトリって、こんなだったけ?」

辺りを見回してみると、こんなに狭い部屋なのに、すごく広く感じる。
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