もしも私がーcasket in cremtion。
――靭視点。
「もう!二人とも!圭子ちゃんの誕生日会なんだよ?迷惑じゃん!」
二人を静めようと、僕は二人を叱りつけた。
すると、めずらしく永璃が声を荒げた。
……めずらしくはないか。トマトの事になると切れるもんな、永璃。
「うるせえ!元はといえば幟呉が――」
言いかけて、何かに気づいたような顔をした。
にやりと顔をゆがめる。
「ははぁ~ん……もしかしてお前、俺と嬢ちゃんが二人きりでいたのにヤキモチ……」
にやにやと笑うと、幟呉がムキになって反論した。
「そんなことがある訳無いだろう!?誰が!」
「おお!?激しく否定するとこがまた怪しい!」
――確かに。
めすらしいな。っていうか、永璃完全に幟呉のことからかってんな。
「こっのっ違うと言っとろぉーが!」
幟呉は近くにあったカバンを取り、永璃の顔面に投げつけた。
ベシ!と音をたてて見事にヒット!
思わず僕は噴出しそうになる。
「……やったな?……テメェ……」
永璃の声色が変わる。
うわ!やばい!!切れてんじゃん!
「ちょっと永璃ぃ!そんな怒んないで!……幟呉もさ、落ち着いて!」
あ~あ!
これじゃあ立場とか全然違うじゃん!
確かにお酒入ると幟呉は人に絡むけどさ、そんなに怒る事じゃないと思うんだけど……もしかして、図星なのかな?
いや、でも幟呉は割りと短気だからなぁ……。
何てことを考えてると、二人は一触即発な事態になっていた。
にらみ合いが続く。
騒ぎに気づき、皆が息を呑み、緊張が走る中、視界の隅で一人だけ、何かを黙々と飲み干している女が映った。
「っはあ、ったく、ウルサイってのよ!っヒック!この、アホどもが!」
「……圭子ちゃん?」
そう、暴言を吐いたのは、顔を真っ赤にした圭子ちゃんだった。