もしも私がーcasket in cremtion。
「いないな。」と幟呉が呟いて「ああ」と永璃は相づちをうち
「靭の方へ合流するか。」と言って、調理場へのドアへ向っていた。
「何?知ってるの?」
靭は食い入るようにコックを見つめる。
「ああ。ウチで働いてもらってる子にそっくりなんだが、立花という名前じゃ……」
そう言って訝しげに首をひねる。
「なんていう名前なの!?この子ボクらの妹なんだ!今家出してるんだよ!もしかしたら偽名を使ってるのかも知れないし、教えてよ!何処にいるの!?」
迫真の演技の靭に気圧され、定員は答える。
「今、上がってもらった所なんだ。」
それを聞いた靭は
「っそれ、早く言ってよね!!オジサン!」と毒づいて走り出すと同時に、二つの声が聞こえた。
「な、オジサン!?俺はまだ若いんだぞ!」
という抵抗と
「靭!」
と名を呼ぶ幟呉の声だ。
「幟呉!永璃、遅いよ!・・見つかった!」
「マジかよ」
永璃は小さくそう言って、舌打ちをした。
「お、おい!キミ達!」
慌てふためいているコックを尻目に、三人は業務員用のドアを、乱暴に開けた。
バン!
という大きな音とは裏腹に、家や店に挟まれた静かな薄暗い路地があるだけだった。