もしも私がーcasket in cremtion。
放課後、私はあるモノを見たんだ。
決して見てはならなかったモノを……。
ある部屋を覗くと、数人の男達が一人の男を取り囲んでいた。囲まれていた男はまだ若く見えた。
そのお兄さんがピンク色の液体の入った注射を打たれた瞬間、お兄さんは醜い化け物に変わった。
そしてぐずぐずに溶けて、死んだ。
私は逃げた。
――ううん、逃げられたんだと思っていた。
でも実際には私は捕まり、お兄さんと同じものを打たれた。
そして私は、化け物になり、全てを忘れ、生き延びた。
そんな私に待っていたのは、地獄。
まるで、お兄さんを見捨てた、罰。
その日を境に私はある夢を見るようになった。
化け物が現れては、人を殺す夢。
見たくも無い、無残な光景……。
そしてそれは、現実になった。
ある日の夢では、母と、姉が死んでいたんだ。
食い殺されて。
ある日の夢では、外国人の女の人と、幼い少年。
またある夢では、一人助かることになったクラスメートの男の子。
そして、事件の捜査をしていた、三人の刑事さん……。
……私の大好きな、友未……。
その化け物は金色の毛をした、赤い瞳の生き物で、二mはある大きさに、ゴツイ腕と拳。
5本に分かれた指から出る鋭い爪。
大きく裂けた口からのびる、鋭い犬歯。
丸まった背中を、さらに縮め、友未の首にかぶり付いていたこの生き物を……私を……〝化物〟以外に何て呼べば良いだろう?
友未の血が、壁に飛び散る。
友未がこっちを見てる。
瞳孔が開いた瞳で……。