気紛れカフェ
「おはようございます」
「あ、あざみちゃんおはよー、この後朝のニュースね!」
「了解です」
昨日嫌なことがあったけど、それ以上に素敵な出会いがあったから、今日はなんだかわくわくする
「ん、あざみちゃん機嫌いいね、彼氏に振られたんじゃなかったの?」
「あ、石田さん、おはようございます、まぁ、確かに振られましたけど引きずってないです」
「あんなにべたぼれしてたのに?」
「えぇ、まぁいつまでも引きずってても仕方ないんで」
石田さんは憧れの先輩で男性だけどなんでも話せるいい人だ
今月結婚も決まったそうで羨ましい
「あざみちゃん、スタジオ入って!」
「あ、はい!」
おはようございます、朝のニュースの時間です
まずは今日のお天気から
今日は午前中晴のち曇の予報となっています
ところによりにわか雨となる模様
折畳み傘を持っておくといいですね
午後からは晴天となりそうです
次は今日のニュースです
昨日、東京の一部では桜の開花が始まりました
暖かくなって春が近づいて来たようですね
まだ満開とまでは行きませんが、みなさんも足を運んでみてはどうですか?
では、今日も元気にいってらっしゃい!
「…はい、オーケー!!」
「ふー…ありがとうございました」
「さすがあざみちゃんね、ナイスハスキーボイス!」
窓越しにグッドサインを送られた
今日は少し早く仕事を切り上げよう
「はい、お疲れ様のカフェラテよ」
「あ、ありがとうございます」
「あざみちゃん、ほんとカフェラテ好きよねー」
私は苦笑いして甘いカフェラテを飲み干した
隆さんのコーヒー、飲みたいな
「お疲れ様です、お先に失礼します」
少し急ぎ足でラジオ局を後にする
軽い足取りで歩いていたら手を掴まれた
「あざみ」
「…夏樹」
昨日私を振った彼だった
今更、なんの用があるのか
カランカラン
「あざみさん、いらっしゃ…今日はお連れ様がいるのかな?」
「…はい」
夏樹に話をしたいと言われてここに来た、隆さんはお店を開けててくれた
「そちらへどうぞ」
隆さんは窓際の席を進めてくれた
「あざみさん何飲まれますか?」
「あ、えと、ブラック…カフェラテをお願いします」
「…了解です、お連れ様は?」
隆さんは少し驚いていたけれど、それ以上はなにも言わなかった
「僕もカフェラテ、お願いします」
隆さんは2杯のカフェラテをテーブルの上に置くと「ごゆっくり」と言ってカウンターへ戻っていった
「今更、なに?」
「俺さ、実は…浮気してて、お前の他にもう一人女作ってたんだ」
知ってる
「そいつ、後輩の優って奴で」
それも知ってる
「でも…そいつとも昨日別れた」
「何で?」
「俺、お前がいないとダメなんだ、だから…」
「ごめん」
夏樹は怪訝そうな顔をして「なんで?」と言った
「もう、夏樹のこと、好きじゃないの」
「…」
夏樹は黙って立ち上がるとそのまま出て行ってしまった
涙がぽつりとカフェラテに落ちた
「あざみさん?」
気づいたら隆さんが隣に立っていた
「私、ほんとはカフェラテなんて甘くて嫌いなんです…でも、彼がカフェラテ好きだから、共通点が欲しくて無理して飲んでたんです」
「うん」
「彼が浮気してたことも知ってたし、私が就職してて、収入があるから付き合ってたのも、知ってるんです、彼が友達とそういう話してたの聞いたから…」
「うん」
「それでも彼のこと、大好きだったんです」
「うん」
隆さんはただ、うん、うん、って頷いてくれた
涙はあとからあとから溢れてきて甘いカフェラテをしょっぱくして行った
「あざみさん、無理しなくていいんですよ、好きなものを好きって言いなさい」
そう言って隆さんはブラックコーヒーを持ってきてくれた
一口飲むと
香ばしい匂いが体を優しく包んでいく
「隆さん、ありがとうございます」
隆さんは優しい笑顔で私の頭をぽんぽんっと撫でた
「あざみさん、今朝のラジオ聞きました、あざみさんの声はやっぱり素敵ですね、だから枯らして欲しくないですけど、今は大声で泣いていいと思いますよ」
隆さんがそう言うから私は大声で泣いた
声が枯れるくらい、大声で
「あ、あざみちゃんおはよー、この後朝のニュースね!」
「了解です」
昨日嫌なことがあったけど、それ以上に素敵な出会いがあったから、今日はなんだかわくわくする
「ん、あざみちゃん機嫌いいね、彼氏に振られたんじゃなかったの?」
「あ、石田さん、おはようございます、まぁ、確かに振られましたけど引きずってないです」
「あんなにべたぼれしてたのに?」
「えぇ、まぁいつまでも引きずってても仕方ないんで」
石田さんは憧れの先輩で男性だけどなんでも話せるいい人だ
今月結婚も決まったそうで羨ましい
「あざみちゃん、スタジオ入って!」
「あ、はい!」
おはようございます、朝のニュースの時間です
まずは今日のお天気から
今日は午前中晴のち曇の予報となっています
ところによりにわか雨となる模様
折畳み傘を持っておくといいですね
午後からは晴天となりそうです
次は今日のニュースです
昨日、東京の一部では桜の開花が始まりました
暖かくなって春が近づいて来たようですね
まだ満開とまでは行きませんが、みなさんも足を運んでみてはどうですか?
では、今日も元気にいってらっしゃい!
「…はい、オーケー!!」
「ふー…ありがとうございました」
「さすがあざみちゃんね、ナイスハスキーボイス!」
窓越しにグッドサインを送られた
今日は少し早く仕事を切り上げよう
「はい、お疲れ様のカフェラテよ」
「あ、ありがとうございます」
「あざみちゃん、ほんとカフェラテ好きよねー」
私は苦笑いして甘いカフェラテを飲み干した
隆さんのコーヒー、飲みたいな
「お疲れ様です、お先に失礼します」
少し急ぎ足でラジオ局を後にする
軽い足取りで歩いていたら手を掴まれた
「あざみ」
「…夏樹」
昨日私を振った彼だった
今更、なんの用があるのか
カランカラン
「あざみさん、いらっしゃ…今日はお連れ様がいるのかな?」
「…はい」
夏樹に話をしたいと言われてここに来た、隆さんはお店を開けててくれた
「そちらへどうぞ」
隆さんは窓際の席を進めてくれた
「あざみさん何飲まれますか?」
「あ、えと、ブラック…カフェラテをお願いします」
「…了解です、お連れ様は?」
隆さんは少し驚いていたけれど、それ以上はなにも言わなかった
「僕もカフェラテ、お願いします」
隆さんは2杯のカフェラテをテーブルの上に置くと「ごゆっくり」と言ってカウンターへ戻っていった
「今更、なに?」
「俺さ、実は…浮気してて、お前の他にもう一人女作ってたんだ」
知ってる
「そいつ、後輩の優って奴で」
それも知ってる
「でも…そいつとも昨日別れた」
「何で?」
「俺、お前がいないとダメなんだ、だから…」
「ごめん」
夏樹は怪訝そうな顔をして「なんで?」と言った
「もう、夏樹のこと、好きじゃないの」
「…」
夏樹は黙って立ち上がるとそのまま出て行ってしまった
涙がぽつりとカフェラテに落ちた
「あざみさん?」
気づいたら隆さんが隣に立っていた
「私、ほんとはカフェラテなんて甘くて嫌いなんです…でも、彼がカフェラテ好きだから、共通点が欲しくて無理して飲んでたんです」
「うん」
「彼が浮気してたことも知ってたし、私が就職してて、収入があるから付き合ってたのも、知ってるんです、彼が友達とそういう話してたの聞いたから…」
「うん」
「それでも彼のこと、大好きだったんです」
「うん」
隆さんはただ、うん、うん、って頷いてくれた
涙はあとからあとから溢れてきて甘いカフェラテをしょっぱくして行った
「あざみさん、無理しなくていいんですよ、好きなものを好きって言いなさい」
そう言って隆さんはブラックコーヒーを持ってきてくれた
一口飲むと
香ばしい匂いが体を優しく包んでいく
「隆さん、ありがとうございます」
隆さんは優しい笑顔で私の頭をぽんぽんっと撫でた
「あざみさん、今朝のラジオ聞きました、あざみさんの声はやっぱり素敵ですね、だから枯らして欲しくないですけど、今は大声で泣いていいと思いますよ」
隆さんがそう言うから私は大声で泣いた
声が枯れるくらい、大声で