10年の片想い
プロローグ
あれは今から、10年前のこと。
あたしには、仲の良い子が沢山いた。
だけどその中で最も仲が良かったのは、君だった。
額に傷があったから、いつも長い前髪で隠していた。
「凜ちゃん。
僕ね、遠くに行くことになったんだ」
「遠く…」
「うん。
だからもう、会えないの。
凜ちゃん、元気でね」
君が言った通り、君は次の日いなくなっていた。
君は、あたしの手が届かない遠くに行ったんだ。
寂しかった。
だけど、君が残してくれた手紙を読んだ。
――――――
凜ちゃんが
オトナになって、
僕も
オトナになったら、
迎えに来るよ。
―――――
幼い頃の小さな約束。
あたしは今でも、
覚えているよ―――――。
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