10年の片想い
「ちなみにあなたに逃げ道はありませんよ。
兄はすでに、警察にあなたの全てを話しに行っておりますから。
虹見の呼びだした警察が、あなたを逮捕するのも、時間の問題でしょうね」
理事長が、ガクッと座りこむ。
それと同時にして、パトカーがサイレンを鳴らしながら停まった。
中から出てきた警察が、理事長を逮捕していった。
「大丈夫か。凛、美愛」
ポカーンッとしているあたしと美愛に、トウヤが声をかける。
ロボットのようなぎこちない振り向き方で、あたしたちは改めて5人を見た。
九条院財閥の御曹司の総長。
御曹司に仕える執事の副総長。
警視総監の息子の双子の幹部。
ヤクザと社長と校長の息子の幹部。
うわ…。
何だかあたし、凄い人たちと付き合っていたんじゃない?
「凛」
「と、トウヤ?―――ッ!?」
あたしは突然、
トウヤにキスされた。