10年の片想い
退学にされそうになった理由
☆☆☆
あたしと美愛は今、お屋敷の前に立っていた。
今日は理事長が逮捕されたため、学校は臨時休校となり、帰ってきたのだ。
あたしは前を歩く、カオリに聞いた。
他の4人は、もうお屋敷に入っていて、何か準備があるとかで。
案内役に、カオリが選ばれたらしい。
「しかし驚いたよー。
カオリがトウヤの執事なんて」
「今は形だけです。
僕もまだ未成年なので」
「だからカオリって敬語なんだね。
その服装も、トウヤの執事だからその格好なんだねー」
「勿論他の服も持っていますよ。
ですが、この服装が1番落ち着くので」
「カオリは知っていたの?
トウヤがあたしの初恋の子だって」
「ええ、勿論。
僕はトウヤの執事で幼馴染ですから。
施設を出て別れてからも、僕は極秘にお2人を調べ、トウヤに知らせる役目を担っていましたから」
調べたの!?
「ですから、僕らは三金高校に進学したのですよ。
約束は、守らなければいけませんからね」
約束?
それを聞く前に、カオリは大きな茶色い両扉の前に立つ。
そして、3回ほどノックし、中から「良いよ!」と言うキラの声を聞くと、扉を開け、あたしたちを誘導してくれた。