10年の片想い
「恐らく理事長は、この映像を見て、お前らが理事長の秘密を知ったんだと勘違いしたんだろう」
「えっ!?」
「わ、私たち見ていないよ?」
「警戒心が強くなると、例え良い人でも疑いたくなるんだ。
見ているという決定的証拠はないが、理事長は凛と美愛が見たんだと判断したんだろ。
それで俺らに罪をかぶせ、調べることが出来なければ退学と言う処置を取り、お前らの脳内から紙の内容を消そうとしたんだろうな」
う、嘘でしょ~!?
理事長の勝手な勘違いで、あたしと美愛は退学の危機になったの!?
良い迷惑だよ!!
「まぁ疑いは晴れたんだ。
凜と美愛は、いつも通り学校に行けるな。
ご両親にも迷惑かけないで済むじゃないか」
まぁ、それは良かったよね。
大事な仲間たちにも再会出来たし。
「皆、ありがとう。
あたしたちのこと、救ってくれて」
「ありがとう、皆!」
あたしと美愛がお礼を言うと、乱馬はふっと皆して笑っていた。
い、イケメンに笑顔は、禁止だって。
し…心臓持たない……。
「改めてようこそ、凛ちゃんと美愛ちゃん。
ボクら乱馬は正式に、2人を乱馬の姫と認めます!」
「ねぇ、キラ」
「それってさー」
「「キラが言って良いことなの?」」
「普通はトウヤが言うものですよね」
「い、良いじゃんね!トウヤ!!」
「……良いんじゃねーの?」
面白いコントのような掛け合いに、あたしたちは笑った。
まるで、空白の10年間を埋めるように――――。