10年の片想い
第2章
乱馬の人たち
「あの…キラくん?」
「どうしたの?凜ちゃん」
「どこへ行くんです?これ」
「聞きたいの?
凜ちゃんってせっかちなんだね」
ふふ、と楽しそうに笑うキラくん。
何が楽しいのか、あたしにはさっぱり。
「知りたいんでしょ?
凜ちゃんも美愛ちゃんも。
……乱馬のお金の使い道」
「な、何でそれを!?」
「凜ちゃんも美愛ちゃんも生徒会でしょ?
生徒会が、不真面目な乱馬に関わるってことは、お金の行方が知りたいんでしょ?
どーせ理事長にでも頼まれて、仕方なくでしょ?」
キラくん…怖い。
猫のような強い瞳が、全て見ているようで。
「安心して。
凜ちゃんや美愛ちゃんが嫌がるような真似はしない。
アイツらも、それはしないから安心して」
「アイツら……?」
「今から会いに行くよ……乱馬に」
乱馬に?
あの、トップシークレットみたいな乱馬に?
誰も会ったことのない、誰も素顔を見たことがない、乱馬に?
「まー、ボクがその乱馬の幹部なんだけどねー」
車内が静かになった。