10年の片想い
「ほら入って」
「ここは…何ですか?」
「倉庫ってボクらは呼んでいるけどね」
倉庫!?
これが、このお屋敷が、倉庫!?
あたしの家は、どうなってしまうのでしょうか……。
「まぁ、お気軽にどうぞ」
ズンズン中へ入って行くキラくんを追いかけるあたしと美愛。
門からお屋敷までは遠く、再び車へ乗りこんだ。
大きな窓から、広すぎるお庭を眺める。
程よく刈り取られた木たちに、虹を描く噴水。
まるで、外国のお屋敷に来たみたいだ。
でも、ここは正真正銘の日本。
こんな豪華すぎるお屋敷があるのかっ……。
「キラ様、ご到着いたします」
「ありがとー」
車から降りると、遠かったはずのお屋敷が目の前にそびえたっていた。
赤い屋根に、広い両開きの窓に、クリーム色の綺麗な壁。
何度も自分の目をこするけど、夢じゃない……。
「キラくんってぼっちゃまなの?」
「ん?
別にそうでもないよ。
ボクなんかより、他の奴らの方がお金持ちだよ」
その時だ。
豪華で静かなお屋敷には似合わないほど、バタバタした音が聞こえたのは。