10年の片想い
第1章

アイツらは、敵







「凜(りん)!」



校門を通ったあたしを迎えたのは、美愛(みあ)だった。

美愛はあたしの、1番の仲良し。

今日も気合を入れて巻かれた茶色の髪が、美愛が走る度に揺れている。



「どうしたの?」

「めんどくさい用事頼まれちゃったんだよー」

「またあの理事長に?」



あたしと美愛は、生徒会に所属している。

あたしが会長で、美愛は副会長。

生徒会って言っても、他には誰もいないんだけどね。

2人きりの、生徒のための部活って感じ。



だって学校を束ねるのは、生徒会じゃないから。

生徒会は、名前だけの、いらない存在なの。



理事長は、あたしたち生徒会をパシリのように扱う。

別に良いんだけどさ。

私も美愛も、大人なんて信用していないから。




「今度は何?
また予算の見直し?
あれ以上安くすることは無理だよ」

「違うの。
アイツらのお金の使い道、調べてくれだって」





アイツら。

それを聞いただけで、あたしは眉間に皺がよる。

すぐに真顔に戻し、美愛と一緒に溜息をつく。




「無理。
アイツのお金の使い道を調べるなんて。
理事長はやらないわけ?」

「理事長は何度も行ったんだって。
でも来ないから、私たちに任せるみたい」



本当理事長は、あたしたちを何だと思っているんだか。







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