10年の片想い
「……何しているんですか、騒々しい」
カツッという靴の音と共に聞こえた、低い声。
思わず声だけでドキッとしてしまった。
「あ、カオリ」
「もう少し静かに出来ないんですか。
幼稚園児でも出来ますよ」
キラくんの視線の方向を見ると。
またまたイケメンくんがいた。
色白でスッとした顎のラインが印象的な、眼鏡をかけている人だった。
やや伸びた前髪と後ろの黒髪が艶めいていた。
しかし、カオリと呼ばれた人で最も印象的なのは、その服装だ。
黒いネクタイ、黒いジャケット、黒いズボン、白いワイシャツ。
…これは、燕尾服、か?
同時に、眼鏡の下にある眼帯も、何故か目を引いた。
てか、この人男だよね?
カオリって名前…そうか、男でも行けるか。
ごめんなさい、と心の中で謝罪しておく。
「ごめんカオリ。
ソラとウミがうるさくってさ」
「「ひとのせいにしたー」」
「人のせいにしてはいけませんよ」
「「馬鹿だーキラ」」
「ソラとウミがうるさいのは前からでしょう」
「「……カオリが1番ひどい」」
コントのような話を聞いていると、カオリくんがこっちを向いた。