10年の片想い
「カオリくん」
「……………」
…何で?
何で名前呼びしただけなのに、睨まれるの?
隣にいる美愛なんて、さっきから一言も話さないし。
美愛、睨まれるの嫌いだもんね…。
まぁ、得意な人なんていないだろうけど。
あたしは、慣れているってだけ、睨まれるのに。
生徒会長は睨まれる仕事だからねーアハハ。
「…人を呼んでおいて何ですか」
「あっ、ごめんなさい。
カオリくんは、乱馬なんだよね?」
「……そうですけど、それが何か」
「教えてくれないかなぁ?
乱馬が一体、何のためにお金を使っているのか。
あたしたちは、それを聞きに来たんですけど~?」
ここまでずっと睨まれてきたけど。
何だか慣れてきたな。
…あー、人間の慣れって怖い。
「無理です」
あ、スッパリ切られた。
だったら、こっちにも作戦ってもんがあるんだよね。
「じゃ、このままあたしたちはここに居させてもらう。
理由を知らないまま帰れないもんね」
オトナにならないと駄目なの。
“あの子”との約束があるから。