10年の片想い
「……ソラ、ウミ」
「「何ー?」」
「彼女たちを追いだしていただけますか」
「「了解!」」
ソラくんウミくんの行動は早かった。
一気にあたしと美愛の後ろに回り込み、後ろで両腕を組まされた。
必死に抵抗を試みるも、意味はない。
「離して!」
「やめて!」
「「大人しくしないと駄目だよ~」」
「ちょっちょっ、ちょっと待ってよ!」
危うく追いだされそうになったあたしたちを助けたのは、キラくんだった。
「待ってよカオリ。
何で彼女たちの事情も聞かないで追いだそうとするんだよ!」
「事情は大体わかります」
「は?」
「生徒会に入っている部分を聞けばわかります。
きっとあの理事長に言われているのでしょう。
僕たちの使うお金を行方を探し出さなければ、退学だ、と」
「た、退学ゥ!?」
キラくんが叫んだことで静かになったお屋敷のお庭に、小鳥の囀りが聞こえる。
そういえばあたしたち、まだお屋敷内に入っていないんだよね。
彼らの本性もわからないまま。
…入りたいな、お屋敷に……。
「それじゃ彼女たちが可哀想じゃん!
ボクたちで彼女たちの助けになれないかな!?」
キラくん、優しい!
「表向きの優しさでは、彼女たちを傷つけるだけです。
キラも、本心では教えるつもりなどないのでしょう?」
え?
「アハハ、バレた?
さすが乱馬の副総長だね~」
キラく―――――んッ!!