10年の片想い
「な、泣き落とし!?」
そう。
あたしと美愛の特技なんだ。
小さい頃、“ある人”に教えてもらってから、大変なことがあると切り抜けてきた。
まぁ男にしか通じないし、全員に通じるってわけでもないんだけどね。
あたしは後ろに美愛を隠すようにして、並んだ4人の前に立った。
い、イケメンだらけ!
…って見とれている場合じゃないや!
「さっきキラくん、カオリくんを副総長って呼んでいたよね。
総長を出してもらえる?」
「無理です」
「無理だね」
「「無理~」」
カオリくん、キラくん、ソラくんウミくんの順番で、皆に断られる。
ぜ、全員に断られるとはッ!
「……無理ではないですね」
カチャッと眼鏡を人差し指で押し上げたのは、カオリくん。
てか今、なんて言った!?
無理ではない!?
じゃあ総長に会えるってこと?