10年の片想い
双子に愛想笑いを返す。
多分、愛想笑いって気がついているだろうなぁ。
気が付かないのは、ボクの両隣りにいる、この能天気すぎるお姫ちゃんだけ。
ブーブーブー。
「キラ、スマホ鳴っているよ」
「あ、ありがとねー美愛ちゃん」
「キラってマナーモードなのね。
面白い着メロかと思っていたわ」
「着メロ決めるの難しいからねー」
ボクは凜ちゃんの質問に答えると、スマホを操作し、メールを見た。
ラインなんてものはボクやらないからね。
―――――――
何変なこと
言っているんだよ。
キラは
気がついていないわけ?
あの2人が
どんな存在なのか。
―――――――
あ、相変わらず厳しいことで。
ボクはチラッとメールの送り主を見る。
ソイツはボクの視線に気が付き、すぐに逸らした。
あの瞳が、全て語っていた。
『お前は、馬鹿か』―――――と。