10年の片想い
「残念ながらいないよ。
小さい頃ならいたけどね」
「へぇ、そうなんだー」
「小さい頃仲の良かった女の子。
凜ちゃんと一緒で、1度きりだったけどね」
「どうして別れちゃったの?」
「ボクが遠くに行くことになったから」
「あ、あたしも一緒のお別れ方だよ。
その子が遠くに行っちゃったの」
「凜ちゃんは、その子に会ったら何て伝えたい?」
「そうだなー。
やっぱり好きって伝えたいかな。
その子に好きな子がいても、ね」
好きな子や彼女がいても。
あたしは気持ちを伝えたい。
いつも一緒にいてくれた“あの子”。
少なくとも、お礼は言いたい。
「会えると良いね、その子に」
キラは笑った。
あたしも笑い返した。
「キラも会えると良いね。
その好きだった子に」
「……そうだね」
一瞬キラは寂しそうな顔をしていたけど。
あたしは気のせいか、と忘れることにした。