10年の片想い






あたしたちが和やかに話していると。

どこからか、拳銃の発砲音がした。

思わずビクッと体が反応する。




拳銃。

“あの事件”の時も、拳銃使われていたっけ?




「あ、拳銃かー」

「なかなかマズいねー」



双子はどこまでも呑気だ。

撃たれたらどうしようって心配はないのだろうか?






拳銃の発砲音は、1回だけして、止んでしまった。

気のせいか?と思えるほど。





バンッと、倉庫の扉が開いた。

気のせいではなかった。

当たり前か。




倉庫の入り口には、大勢の男が立っていた。

だけどどの男も、目の焦点が合っていない。

なるほど、クスリ漬けってわけね。

クスリは法律違反ってこと、知らないのかな?




1番前の中央―――センターに立っている男が笑った。

髪を真っ赤に染めている。

…何が楽しくて笑っているのか、一般人のあたしにはわからない。







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