10年の片想い
「乱馬のみなさーん!
どうも、ぉ久しぶりぶりねー」
大丈夫か?
多分大丈夫じゃないだろうけど。
大丈夫な人は、目の焦点は合うし、手に拳銃なんて物騒なモノは持たないから。
「……呼びだして何の用?」
初めて聞いた。
乱馬の総長・九条院透哉の声を聞いたのは。
低くて、でもよく通って。
凄くカッコいい声で、場違いだけどドキッとしてしまった。
声だけでこんなドキッとするんだ…と再発見。
「1回お前らに勝ちたくってさー。
ほら、前に戦った時ィ、俺ら負けたでしょう?」
「…………」
トウヤ、こんな時にも無視を貫く。
肝が座っていすぎて、大丈夫か?
「今回は勝ちたいわけ。
俺らの気持ち、わかるでしょ?ネ?」
「わからない」
アッサリ切り捨てるトウヤ。
総長らしいけど、そのアッサリ感、なかなかマズくないですか?
「……やっちまえ~!」
ほら!
相手の怒り買っちゃったじゃん!!
一斉にウルフ(だっけ?)のメンバーがこちらに向かって走ってくる。
見た限り、拳銃を持っているのはセンターの赤髪の男だけ。
他の人は全員、鉄パイプとか鎖とか、それぐらいしか持っていない。