10年の片想い







ってあたし、何でこんなに冷静に見極めているわけ?

自分にこんな冷静さがあったとはねー。





「美愛。おいで」

「うんっ」



あたしは美愛を背中にまわした。

そして、出るなと言われていたのを無視し、キラの隣に並ぶ。





守る。

今度こそ、守る。

大事な人、傷つけたくないから。





「凜ちゃん美愛ちゃん、待って」




襲ってくるにも関わらず、キラは冷静だ。




「まぁー最初見てなよ。
総長さんが上手くやってくれるから」




キラの言った通り。

トウヤは1人で、あんなに大勢いた敵を、次々に倒していく。

隙間や無駄がなく、綺麗な動きだった。





その時。

ふわ…と、風か何かで、トウヤの長い前髪が上がった。






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