10年の片想い






露わになる、トウヤの額。

綺麗で整っているトウヤには似合わない切り傷が、そこにはあった。







「え……………?」





あたしはその場に固まった。

トウヤの額に刻まれた、不似合な傷。







『凜ちゃん』





“あの子”の声が、脳内に響く。





あたしは美愛やキラの止める声も聞かないで、ウルフの大軍に走りこんだ。

襲ってきたウルフの攻撃を全て避け、トウヤに近づく。





「女如きが…舐めるなァ!!」




あたしが突入したことに何故か怒る、赤髪の男。

あたしに、銃を向けた。




「……ッ!?」






「凛ッ!」

「凜ちゃんッ!?」








パァンッ…………。





銃声が、鳴り響いた。








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