10年の片想い
第3章
あたしたちと乱馬の共通点
あたしはお姫様抱っこされたまま、海辺に来た。
静かで、誰もいない砂浜に、トウヤはあたしを下ろした。
「……向こうの方が良いか?」
向こう、というのは階段のこと。
あたしは首を振った。
「ここで良い」
「……そうか」
音も立てずに、トウヤは座った。
「ね、ねぇトウヤ……」
「…………」
「さっき、何が起こったの?」
銃口は少なくとも、あたしを捉えていた。
撃たれなかったのが、不思議でしょうがない。
怪我もしていないし。
「カオリだ」
「え?」
「アイツは拳銃に関してはプロだ。
凜が撃たれる寸前に、凜の体を突き倒して、それを俺が受け止めたんだ」
プロ…。
何だか怖いような、頼もしいような……。