10年の片想い
贖罪
☆美愛side☆
トウヤくんが、凜を連れて行ってから。
カオリ、ソラとウミが加わり、ウルフという名前の暴走族との喧嘩は終わった。
ウルフは20人以上いるにも関わらず、乱馬はあっという間に勝ってしまった。
乱馬は思っていた以上に強いのではないか、と再確認した。
「カオリ。
トウヤと凜ちゃんが帰ってこない。
呼びに言った方が良いと思う」
「…そうですね。
トウヤが連れて行く場所は予想がつきます。
皆さん、行きましょう」
カオリの後を追いかける、私たち。
私は隣に並んでいるキラに話しかけた。
「キラ」
「お、美愛ちゃんから話しかけるなんて、珍しいなぁ」
「私、人見知りですから……」
「まぁ、初対面だとそうなるな。
ボクらは美愛ちゃんに何もしないから、安心して。
あと、敬語使わないで良いから」
「あ、うん」
「で、何?」
「乱馬って、強いんだね」
「ん、まあねぇ。
強くなりたかったから、頑張って強くなった」
強くなりたかったから、強くなった。
羨ましいな。
私も、強くなりたいな……。