10年の片想い
「美愛ちゃんも強いのか?」
「私は…あんまり喧嘩はしないかな」
「女の子だもんなぁ。
喧嘩しちゃいけないよ」
「凜はかなり強いので。
護身術みたいな感じで、習ったことはあるよ」
「凛ちゃんにか?」
「うん。
凜ちゃん、私を守るって、どんどん強くなったの」
「守る、か……」
頭の後ろで両手を組んだキラ。
「なぁ、ずっと思ってたんだけど」
「何を?」
「美愛ちゃんと凜ちゃんって、凄く仲良いよな。
幼馴染にしては…仲が深すぎる気がする。
何か、あったの?」
私は黙り込んだ。
そして、口を開いた。
「凜は、オトナになりたいから」
「オトナ?」
「うん。
凜、昔出会った男の子のことが、忘れられないの。
その男の子、凜がオトナになったら迎えに行くよって手紙を残して、いなくなっちゃったの」
「それ、凜ちゃんからさっき車の中で聞いた。
それで、何で守るとオトナが関係あるの?」
「……贖罪に、近いものだと思う」
贖罪。
良い行いを繰り返すことにより、犯した罪を償う意味。
罪滅ぼしってこと。