10年の片想い
「それで…どうして、凜ちゃんが美愛ちゃんを守るんだ?」
「凜、自分のせいでその男の子が傷を負ったことを、いまだに気にしていてね。
私と男の子を、重ねて見ているんだと思う」
「重ねて?」
「うん。
私も、あの男の子と同じよう、傷を負わないように。
傷を持たないように……」
お蔭で私は、凛のお蔭で怪我をしたことがない。
全て、凜が背負ってくれた。
見えていないだけで、凜はかなり体に絆創膏を貼っている。
「それで、贖罪か。
美愛ちゃんを守るという良い行いをして、その少年に罪を償っているんだな。
いまだ凜ちゃんは、自分を責めているから……」
キラの言葉に、頷く。
「美愛ちゃん、凜ちゃんのこと好きか?」
「キラ、当たり前のこと聞かないでよ。
私は、凛のこと、大好きだよ。
凄く優しくて、本当に私の王子様なんだもん」
もし私が男なら、凜に惚れていたと言えるほど。
私は凜のことが大好きだ。
「私も、会ってみたいの。
凜が大好きな、男の子に」
キラに笑いかけ、ふと思いだす。
そして、1番知っていそうなカオリを見る。