10年の片想い
「カオリ」
「何です?」
「トウヤも、額に傷を持っていたよね?」
早々額に傷を持つことなんてない。
「……何故それを、僕に聞くんですか」
「え?
カオリ、1番トウヤと親しそうだから…」
お屋敷内で、トウヤを呼びに行ったのもカオリだ。
トウヤの名刺?を渡したのも、カオリ。
逆に言えば、トウヤはカオリ以外と仲良くないイメージがある。
「……秘密です」
「はい?」
「きっと今頃、凜さんもトウヤに聞いているでしょうから。
美愛さんは、凜さんから聞いてみてはいかがでしょうか?」
そうして、カオリは無表情のまま前を向く。
私も見た。
するとそこは、海だった。
そして砂浜に、凛とトウヤがいる。
何だか気まずそうな雰囲気ではあるけれど…。
凜、聞いたのかな?
聞いてみても、良いかな?
そういえば。
乱馬のメンバーは、何だか不思議。
まだ、聞いていない秘密がありそうで。
乱馬だけが入るのを許される、
そんな敷地がありそうで―――――――。
私と凜は、
入ることが、許されるのだろうか?